グルグルと考えてしまって抜け出せないと

 心療内科でのカウンセリングではさまざまな内容のご相談をうかがっていますが、その多くに見られる特徴が、頭の中でグルグルと考えてしまってしんどいということです。多くの方がご経験があると思います。特に不安・緊張・イライラなどを伴ってグルグルと考えてしまって抜け出せない状態が長く続くと、さまざまな問題につながっていきます。

1) 疲れ果ててしまう
 頭の中でグルグルと考える状態が続いてしまうと、脳のエネルギーの60〜80%が消費されてしまうと言われています。脳は身体全体の20%ものエネルギーを消費するのですから、それだけで何もしてなくても疲れ果ててしまいます。

2) 眠れなくなってしまう
 頭の中でグルグルと考えてしまう状態は、交感神経の興奮を伴います。眠りにつく時は、交感神経が静かになって、副交感神経が優位になっていく必要があります。交感神経が興奮したままでは、いつまでたっても眠れないということになってしまいます。

3) 身体の不調につながってしまう
 不安・緊張・イライラなどを伴ってグルグルと考えてしまう状態というのは、脳内のノルアドレナリンという物質が放出され続けます。いわゆるストレスがかかっている状態で、この時にはコルチゾールという物質も体内に放出されます。コルチゾールは毎日の生活に必要な物質ではあります。しかし、血圧上昇、血糖値上昇、免疫抑制などの作用があるため、ずっと出っ放しになってしまうと身体への悪影響が懸念されます。

 3) で少し触れましたが、ノルアドレナリンという物質は、不安・緊張・イライラなどを強める働きを持っています。

 ノルアドレナリン放出
     ↓
 不安・緊張・イライラ
     ↓
 グルグル考える
     ↓
 不安・緊張・イライラ強化
     ↓
 ノルアドレナリン放出

というループ構造が脳内にあるため、このループにハマるとなかなか抜け出せなくなってしまうという厄介なものです。これを激しく繰り返していると、やがて脳疲労という状態になり、うつ状態になってしまいかねません。

 グルグルと考えてしまうことから抜け出すには、どうしたらいいのでしょうか?

 いつも2通りの方策をご提案しています。

A) セロトニンがたくさん出るようにする
 セロトニンというの物質が脳内で放出されると、ノルアドレナリンを抑制する働きがあります。すなわち、不安・緊張・イライラを鎮めてくれ、こころを穏やかにしてくれる作用があるのです。具体的には、また別記事でお話ししたいと思います。

B) こころの中に抱えている問題を解消していく
 不安・緊張・イライラなどが高まって、いつまでも続いてしまうのは、こころの中に何らかの問題を抱えていらっしゃる状態とも言えます。ほとんどの場合、幼少期のさまざまな出来事に関連します。その詳細についても、また別記事でお話ししたいと思います。

A)、B)それぞれを行なっていくことで、問題から解放されて楽になっていかれる方がたくさんいらっしゃいます。